作りたいコーヒーの分量に合わせた「湯量」と「粉量」の目安を知りたい。
こういう質問にお答えします。
こんにちは、創業81年目「新田珈琲」焙煎士の新田和雄です。
自己紹介になりますが、自分は、
・JCQA認定コーヒー鑑定士
・CQI認定Qアラビカグレーダー
・SCAJアドバンスドコーヒーマイスター
・JBAバリスタLevel1
・コーヒーインストラクター3級トレーナー
などのコーヒー関連の資格を所有しております。
競技関連では、以下の「コーチ」経験があります。
・ジャパンカップテイスターズチャンピオンシップ 日本優勝
・ワールドカップテイスターズチャンピオンシップ 世界14位
・ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ 日本3位
また、十数年の焙煎経験もあり、これらの知識や経験を活かし分かりやすく、説明していきたいと思います。
必要なパラメーター
「湯量」と「粉量」を求める際に必要なパラメータは、以下の3つになります。
- 作りたい量(g)
- 抽出比率(ブリューレシオ)
- 粉の水分吸収率(%)
いきなり、わからない単語が出てきて驚かれた方もおられるかと思いますが、作りたい量以外は、大体の目安の数値が決まっているので安心して下さい。
作りたい量(g)
抽出したいコーヒーの量になります。単位を合わせる為に g(グラム)で表示しておりますが、適宜、cc などで読み替えて下さい。
- 一般的なコーヒーカップの場合、120g〜125g程度
- マグカップの場合、150g〜
抽出比率(ブリューレシオ)
コーヒーの粉を1と考えた時の使用するお湯の量になります。
コーヒーの粉が10gで、注湯する量が、150g の場合は、1:15となります。
この数値は、主に濃度に影響します。今回は暫定で、15という数値を使います。
単純に濃くしたい場合は、14、13などと小さい数字にして下さい。逆に薄くしたい場合は、16、17の様に大きい数字にして下さい。
ブリューレシオに関しては、以下の記事も参考にしてください。
粉の水分吸収率(%)
コーヒーを抽出した後に、粉にどれくらいのお湯が吸収されているかという数値になります。
10gのコーヒーの粉を使用して、抽出後に 粉が20g の水分を含んでいた場合は、
20g(吸水量) ÷ 10g(粉の重さ)= 2倍(200%)
となります。この数値は、粉の細かさや、お湯と粉の接触時間の影響も大きいので、コーヒーの淹れ方は同じ場合という条件になります。
一般的にコーヒーが給水する量の目安は、粉量の2倍から2.5倍と考える事が多いので、ここでは暫定で、200%という値を使用します。
最終的な誤差が大きい場合は、各々の環境に合わせてこの数値を修正して下さい。
ちなみに給水量の求め方は、コーヒーを最後まで落とし切る抽出方法を前提として、
もしくは、単純に
と、なります。
具体的な例
- 作りたい量が、130g(任意)
- レシオが、15(任意)
- 吸収率が、200%(任意)
という条件があると仮定した時、
作りたい量 = 湯量 ー 吸水量
という関係が、ありますので、それぞれを粉量からの計算式に置き換えると、
作りたい量 = 湯量(粉量×レシオ)ー 吸水量(粉量×吸水率÷100)
のように()内の式に置き換えられます。
これを進めていきますと、
作りたい量 = 粉量×レシオ - 粉量×吸水率÷100
作りたい量 = 粉量×(レシオ - 吸水率÷100)
で、粉量を表す式にすると、以下のようになります。
粉量 = 作りたい量 ÷ (レシオ - 吸水率÷100)
この時、吸水率200%、レシオ15とすると
粉量 = 作りたい量 ÷ (15 - 200÷100)
粉量 = 作りたい量 ÷ (15 - 2)
粉量 = 作りたい量 ÷ 13
この時、作りたい量が、130gとすると
粉量 = 130 ÷ 13
粉量 = 10
必要な湯量は、レシオ倍すればいいので、
湯量 = 粉量 × レシオ
湯量 = 10 × 15
湯量 = 150
という感じになります。
関係を表にしてみる
参考に吸水率と抽出比率を変更した場合の粉量と、湯量の表を載せておきます。
必要な抽出量 | 130 | 130 | 130 | |||
吸水率 | 200 | 225 | 250 | |||
レシオ | 粉量 | 湯量 | 粉量 | 湯量 | 粉量 | 湯量 |
10 | 16.25 | 163 | 16.77 | 168 | 17.33 | 173 |
11 | 14.44 | 159 | 14.86 | 163 | 15.29 | 168 |
12 | 13.00 | 156 | 13.33 | 160 | 13.68 | 164 |
13 | 11.82 | 154 | 12.09 | 157 | 12.38 | 161 |
14 | 10.83 | 152 | 11.06 | 155 | 11.30 | 158 |
15 | 10.00 | 150 | 10.20 | 153 | 10.40 | 156 |
16 | 9.29 | 149 | 9.45 | 151 | 9.63 | 154 |
17 | 8.67 | 147 | 8.81 | 150 | 8.97 | 152 |
18 | 8.13 | 146 | 8.25 | 149 | 8.39 | 151 |
19 | 7.65 | 145 | 7.76 | 147 | 7.88 | 150 |
20 | 7.22 | 144 | 7.32 | 146 | 7.43 | 149 |
まとめ
ざっくりとでいい場合は、以下の式を使って下さい。(細かい対応が必要な場合は、記事の内容を参考にしてパラメータを修正して下さい。)
粉量 = 作りたい量 ÷ 13
湯量 = 15 × 粉量
さいごに
この計算や式は、ざっくりとした数量を知るための目安ですので、あくまで参考程度のものになります。